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月の足跡
リヴリーの飼育から擬人化小説に至るまで・・・リヴに関する日記を書いてます
家族パラレル
もしもキミが望むのなら、僕は・・・・・

というセリフが頭から離れません。
何だろう。
うちの子で、一人称「僕」っていう子はいない・・・はず。
うん、いないのに。
誰のセリフだろうなぁ~・・・

一番しっくり来るのは、ヴィオルかな。

「もしもお前が望むのなら、俺は・・・・」

「相手を必要としているのはお前だけじゃない。俺は、お前に色を与えられたんだ。だからもしもお前がそう望むのなら、俺は―――」

こういう感じか。

って、そんなことはどうでもいい!!
家族パラレル-ドーナツ編-を載せます。
何だか久しぶりに、ほのぼの系話を書いた気がする。
本来はバトンで、ドーナツ=ディグとフェンリって名前を挙げていただいたのですが・・・
そんなにリヴでお知り合いの方がいないので、小説という形にしてしまいました。

今回パパは出演してません(苦笑
ママの出番も少ないです。
子供達メインで!!

そいじゃ、長いのでReadMoreからどうぞ。
ブログのトップページがやたら長いと、スクロール嫌になっちゃうよね・・・。
小説を載せるとき、ReadMoreに載せ忘れると、いつも「あ・・・、やっちゃった」って思う。
そこそこ短いのならいいんだけども。






家族パラレル -ドーナツ編-



 冬も終わりに近づいたある暖かな初春の日
 香ばしい匂いと共に、ヴィオル家に母-ユーラ-の声が響いた。


「ディグ、フェンリ。おやつが出来ましたよ」


 その声にいち早く反応したのは、次男のフェンリ
 小さい身体をパタパタと弾ませて、ユーラのいるキッチンへとやってきた。


「おやつ!?」
「えぇ。これを運んでくれますか?」


 爛々と輝く黒いどんぐり眼
 手の見えない長い袖を伸ばしたところに、ユーラは大きめの皿を乗せた。


「うわぁ~ ドーナツだ!!」


 こんもりと盛られた穴の開いたドーナツたちは、揚げたて特有の黄金の衣で身を包み、薄っすらと湯気を立ち昇らせている。


「仲良く食べるんですよ」
「はーい!!」


 元気のいい声を残し、フェンリは大皿を頭上へ持ち上げると、たったっとリビングへ駆け出した。




「お、いい匂い~」


 と、ちょうどそこへ現われたのは長男のディグライ
 フェンリの持つドーナツに、彼も嬉しそうな声をあげた。


「ドーナツじゃん!」
「揚げたてだよー! ディグ兄早く食べようよぉ~」


 テーブルの上にお皿を置き、さっさと自分の椅子に座ったフェンリに・・・


「ちょっと待て!」


 ディグは手のひらを突き出して待ったをかける。


「お前ドーナツだけ食うつもりかよ。ドーナツには牛乳! これ鉄則だろ?」
「あっ、そっかー!」


 ポン!と手を叩き、椅子から降りようとするフェンリに、ディグは再び待ったをかける。


「俺が持ってきてやるよ。だからまだ食うなよ?」
「ありがとうディグ兄ぃ~ おいら待ってる!!」
「よし!」







 若干小走りでディグがキッチンに消えて数分――――
 ケマリとブラドの描かれたコップを両手に持って、ディグはキッチンから出てきた。


「ほい」


 ケマリの方をフェンリの前に置き、横に並ぶようにしてブラドのコップを置いてから、ディグも自分の椅子へ座った。


「よしゃ! 食うぞ!!」
「食うぞぉ~!!」


 まわりはサクっと、中はふっくら
 シンプルなドーナツだからこそ、飽きずにどんどん食べられる。

 満面の笑みを浮かべながらドーナツを頬張る二人
 そして・・・・

 あれだけたくさん盛られていたドーナツも、気づけば残りあと1つ


「・・・・・あれ?」
「お・・・・・?」


 そう、残り1つ

 互いに皿の上に残されたドーナツを見据えること数秒


「・・・・フェンリ」


 ドーナツから目を離さず、ディグは落ち着き払った声で弟の名を呼ぶ。


「なにさ」


 対するフェンリも、ドーナツからは決して目を離さず、兄の呼び声に応えた。


 互いにスキは見せられない・・・!


 先ほどまでの和やかな雰囲気は一変し、切り詰まった緊張感が二人の間を流れ始める。


「お前まだ小さいし、ここは兄に譲るべきだろ」
「おいら成長期だから、ここはおいらに譲るべきだよ」
「むむっ・・・」
「むむむっ・・・!」


 一歩も引けを取らずドーナツを睨み続けていた――その時!!


「フェンリ、ちょっと手伝いを・・・」


 キッチンからの母の呼ぶ声にフェンリが一瞬気を取られたスキをついて!


「いただきっ!!」


 ディグは素早く皿の上から最後のドーナツを奪い取った。


「ああああぁぁぁーーー!!!」
「俺の勝ちだな」


 ふふん、と誇らしげにドーナツを掲げ、ディグはにんまりと笑みを浮かべた。


「ズルいよディグ兄! 今のなしだよ!!」
「スキを見せたお前が悪い」
「だって今のはお母さんがっ・・・うっ・・、ひっく・・・うわああああんん!!!」
「げっ・・!」


 真っ黒な瞳から大粒の涙が零れ出し、やがてそれは止めどなく溢れ始める。


「なっ・・泣くなって! フェンリ!!」
「呼んでも来ないと思ったら、またケンカですか?」


 呆れた様子でキッチンから顔を覗かせたユーラに、さすがにディグはヤバいと思ったのか。
 取り繕うように、フェンリの前にドーナツを差し出した。


「わかった! 半分こにしよう。それならいいだろ?」


 その言葉にフェンリはピタリと泣くのを止め、目の前のドーナツを見る。


「・・・・1ミリも狂わず正確に半分こ」


 低い声でぼそりと呟いた言葉は無理難題


「ちょっと待て。それはさすがの俺でも・・・・」
「うっ・・、ふぇっ・・・」
「あああ待て! 泣くな!!」
「ドーナツが足りなかったのですか?」


 状況を把握し、子供達の方へ歩いてきたユーラにディグは助けを求めるように頷いた。


「だから半分こにしようと思ったんだけど・・・。いくら母さんでも、これを1ミリも狂わずに半分には出来ないよな」
「あぁ、それなら簡単ですよ。そのまま水平にドーナツを持っていて下さいね」
「簡単? へっ・・・?」


 ディグが問い返すと同時、ユーラの腕が微かに動いたかと思った次の瞬間には、ドーナツは物の見事に真っ二つに割れていた。


「・・・・今、何やったの?」
「ナイフで切ったんですよ、ほら」


 ユーラの手にはいつの間に取り出したのか、小型の果物ナイフが握られている。
 そして、フェンリがおもむろに割れたドーナツを、ディグが持つドーナツと合わせると・・・


「ピッタリだ!!」


 それは綺麗に一致した。


「さぁ、仲直りしなさい」
「「はーい!」」


 互いに向き合い、ドーナツを見せあったところで


「仲直りな、フェンリ」
「うん!」


 二人同時にそれを口へ放り込み、満足げな表情を浮かべた。
 そんな二人を見ていたユーラは・・・


「それにしても、こうならないようにちゃんと偶数個揚げたはずなんですけどね・・・・」
「でも現に1個・・・って、ああっ!!」


 そこでディグは、ふとあることを思い出した。
 それは―――


「まさかフェンリ。俺が牛乳持ってくる間に食べたなんてことは・・・・・」
「あーー!! おいらヴィネガ様のとこに行かなきゃ!! ごめんディグ兄アディオス!!」


 一瞬にしてケマリへ戻り、一目散に姿を消したフェンリを見てディグは確信する。


「あの野郎・・・・」
「ディグの負けですね。ついでにフェンリに手伝って貰う事があったのですが、いなくなってしまったので貴方が代わりに手伝って下さい」


 ふつふつと湧きあがる怒りも、母の笑みを前にして一気に冷めていく。
 泣く泣くキッチンへ向かったディグのしたお手伝いとは、くり抜かれたドーナツの真ん中部分に餡子を詰めて丸める作業だったという・・・・。



おしまい



お母さんが最後に作っていたのは、一口サイズの餡ドーナツ。
決して無駄にはしません!!

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設定上は24歳の男だったりします。
あくまで・・・設定ですけどね



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